五島列島の旅 その2

ツアー2日目、昨日のどんよりした空とうって変わって快晴です。今日は初めて乗船する「海上タクシー」で、久賀島、奈留島、若松島と回り福江島に戻ります。
 
 
   
  船は50人ほど乗れますが、我々18人のツアー客が貸し切りとなります。波もなく快適なタクシー乗船日和となりそうです。
船は25分ほどで久賀島に到着です。
 
 
   
  船着き場から歩いてすぐのところに教会があります。この教会には車で行ける道がなく、車で来ても途中から山道を歩くか、我々のように海上タクシーや漁船を利用してでしか訪れる手段がないとのこと。
左が2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」としてユネスコの世界遺産に登録された久賀島の集落に包括されている旧五輪教会堂で、右端が新五輪教会堂です。
海外旅行していろいろ教会を見ましたが、このように海岸沿いにある教会は初めてです。
  
 
 



旧五輪教会堂
 
1881年(明治14年)に浜脇教会堂として建てられ、1931年(昭和6年)にこの地に移設されたもので、国の重要文化財に指定されており、現存する木造教会としては最古の部類に入ると見られています。
建物は木造平屋建て瓦葺で、教会特有の尖塔アーチ(ポインテッドアーチ)形の窓となっており、この部分と屋根の上の十字架を除けば普通の和風建築そのものとみられます。(スミマセン逆光で少し光が入っています。)
 
      
 
   
     
 
   
左は主祭壇、右は告解室
建屋の天井は横断アーチとその対角線のアーチをリブとしてその隙間をセルによって覆う、リブ・ヴォールト構造です。告解室は何とカーテンで覆われているだけです。
 



旧五輪教会に隣接して建てられている五輪教会は1985年(昭和60年)に建てられたものです。
  
 
  久賀島から海上タクシーで5分ほどのところにある奈留島に移動です。
 
 
   
  奈留島世界遺産ガイダンスセンター
令和3年11月にオープンしたばかりのガイダンスセンターは奈留港から車で約3分くらいのところにあり、中には江上天主堂の原寸大模型、信者が所蔵していた「日繰帳」と呼ばれる教会暦や「オラショ」の他に信仰具としていたアワビの貝殻など歴史的価値のある資料が展示されています。
 
 
   
  元大リーガー野茂英雄のお父さんの家
 
 
 
港から走ること約15分で江上天主堂に到着です。


江上天主堂は、鉄川與助の設計・施工によって1918年(大正7年)に竣工した木造平屋瓦葺きのロマネスク様式の教会で、少し変わっているのは高床式となっていることです。これは教会が森に囲われており、大雨の際に建物周囲を水が流れるためで、腐食防止も兼ねているとのことです。
天主堂はユネスコの世界文化遺産に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」に「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺」として登録されています。
天主堂として独立して登録されていないのは)集落が禁教時代の1797年(寛政9年)に移住して潜伏キリシタンとして生活を続け、明治時代になって初めて信者として洗礼を受けたことから「禁教期を重点とすべき」というイコモスからの指摘により、大正時代の建築の天主堂を、集落に含めて登録されることとなったようです。
なお、2008年(平成20年)に国の重要文化財に指定されています。
生憎と内部は見学できず、撮影も禁止でした。
 
      
 
 
世界遺産標記 と天主堂の説明板

右端の内部の写真ではシンプルな構造となっているようです。
 
 
   
天主堂を見た後は、若松島にあるキリシタン洞窟を見るため船に戻ります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
海上タクシーで約40分、若松島の南端にあるキリシタン洞窟に到着です。
チョッと見難いですが、上の写真の中央に高さが全体で約8mの十字架とキリスト像があります。
拡大(右の写真)してみると右手を上げているキリスト像であることがわかります。この奥に奥行き約50m、高さと幅が約5mがありますが、よく見えない位置です。
1868年(明治元年)に発生した「五島崩れ」と呼ばれたキリシタン弾圧によって、里ノ浦地区に住んでいた信者たちが船でしか行けないこの洞窟に逃れ身を隠していましたが、食事をするために炊いた煙を漁船に見つかり役人に通報され捕らえられたとのことです。
十字架とキリスト像は1967年(昭和42年)に、苦しみながら信仰を守り抜いた先人たちを偲び、永く祈念するために建てられ、毎年11月に信者たちがこの地に上陸してミサを行い、祈りをささげているとのことです。
 
 
 
 
   
  キリシタン洞窟のそばにある空洞は、「ハリノメイド」と呼ばれており、五島弁で穴のことを「メンズ」または「メンド」と言い、これは"針の穴"の意味だそうで、見る位置によってはマリア様が幼子イエスを抱いている聖母子像のシルエットにも見えるとのことです。
 
 
 
若松大橋

若松大橋は、若松島と中通島を結ぶ全長522mのトラス橋で、若松瀬戸の間に架かっています。
ちょうど工事中で車も通らないことから橋の中央で写真を撮ってみました。(下の写真)
 
      
 
 
 
     
 
  
橋の上から見るとコバルトブルーの海がとてもきれいです。
   



カトリック中ノ浦教会

中通島の宿ノ浦郷の海辺に建てられたこの教会は、1925年(大正14年)の創建で木造教会には珍しく鍾塔があります。残念なことにこちらの教会も中に入ることができません。

 
 
 
 
 
   
  対岸から見るとこんな感じですが、海が凪いでいるときは水面に教会が映る姿が鮮明であることから、「水鏡の教会」と呼ばれています。海が凪いでいるときは下の写真のように見えるようです。 
 
 
 
 
 
   
  青砂ヶ浦天主堂

カトリック中ノ浦教会からバスで約25分、煉瓦造りの教会に到着です。
教会は、1878年(明治11年)に西彼杵郡の外海地方から移住していた潜伏キリシタンが、カトリックに復帰した際に最初の聖堂を建設したのが始まりで、1910年(明治43年)に、鉄川與助の手により現在の聖堂が完成したもので、以後大規模な改修が行われたものの当時の外観を残しており、2001年(平成13年)国の重要文化祭財にに指定されています。
こちらも残念なことに内部を見ることはできませんでした。

 
 
   
   
   
  奈摩湾の風景
 
午後4時過ぎ、今日の宿のある矢型目に到着です。宿の周りには見る物もなく、コンビニなどのお店も皆無です。持ってきた本を読んで過ごすしかありません。
 
 
 
   
 
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