バターリャ修道院
 
 
  ファティマから30分ほどでバターリャ(Batalha)に到着です。
バターリャとはポルトガル語で「戦い」を意味するとのことで、1385年にジョアン1世がバターリャ近郊にあるアルジュバロータでの戦いで、カスティーリャ軍を破り勝利したことを祝し、聖母マリアに感謝するため建設されたバターリャ修道院があります。街そのものは人口約1万人と小さな街で、この修道院のほかに見るところはありません。
修道院は、正式には「聖母マリア修道院(Mosteirode Santa Maria da Vitória)」といいますが、「勝利のサンタ・マリア修道院」とも呼ばれています。建設が始まったのは1386年で、ほぼ完成したのが1517年と約130年の月日を要していますが、リスボンのジェロニモス修道院の建設に力を注ぐとのジヨァン3世の方針もあって未完のままとなりました。
このバターリャ修道院は、ポルトガルの独立を象徴する建築物として、1983年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。。
 
     
   
  騎馬像のある南側広場から見る修道院  
     
 
  ヌノ・アルヴァレス・ペレイラの騎馬像
修道院の南側広場にあるこの騎馬像は、ヌノ・アルヴァレス・ペレイラ(Nuno Álvares Pereira)の騎馬像で、ペレイラはポルトガルの王位をかけて争ったアルジュバロータの戦いで、ジョアン1世とともにファン1世率いるカスティーリャ軍と戦い、勝利のけん引をしたポルトガルの将軍です
 
     
   
  修道院の正面(下は正面ファサードのアップ)
鐘楼を持たない修道院は、バターリャの南にあるポルト・デ・モス(Port de Mos)で産出した石灰岩で外装が整えられており、黄色っぽく見えるのは経年変化によるものです。
 
   
     
 
 
 
  身廊
身廊の高さは32m、幅は内部の均整を保つために22mと狭くなっており、また他の修道院に比べて彫像や装飾物が少なく、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。身廊の正面にはイエス像があり、その後ろにステンドグラスが設けられています。このステンドグラスは最古のもので15世紀半ばにドイツ人の芸術家が持ち込んだもので、ポルトガルとしては最初にステンドグラスを備えた教会となっています。
 
     
   
  創設者の礼拝堂の天井
創設者の礼拝堂は、八角形の空間となっていて、中央にジョアン1世と王妃のフィリパ・デ・ランカスターの棺が置かれており、息子のペドロ王子、エンリケ航海王子などの棺も置かれています。
 
     
   
  ジョアン1世の棺  
     
 
エンリケ航海王子の棺
 
      
 
  参事会室のステンドグラス
王の回廊の東側にある参事会室にあるステンドグラスには、キリストの昇架の場面が描かれています。
      
  無名戦士の墓
参事会室は柱が1本も使われていないアーチヴォールト形式という構造となっている天井の高い部屋で、第一次世界大戦でなくなった無名戦士の墓があり、中央には十字架に架けられたキリストの像、手前に慕銘碑のある墓、そして両側には右手に銃を持った兵士が不動の姿勢で立っています。
      
  王の回廊の北西角にある三段式の水盤
 
     
   
  王の回廊
中庭を取り囲むように設けられたこの回廊は、ジョアン1世の回廊と名付けられており、当初の建設計画ではなく、建築家のフェルニヤーオ・ド・エヴォラが1448~1477年にかけて設けたもので、マヌエル様式の彫刻が施されています。
 
     
   
  未完の礼拝堂
一度外に出てぐるっと回ると「未完の礼拝堂」があります。この礼拝堂は、ドゥアルテ1世によって、自身と彼の子孫を埋葬するための王室の霊廟として1437年に着工されましたが、ドゥアルテ1世は工事途中で亡くなり、マヌエル1世に引き継がれましたが、何故か完成に至らず現在に至っているもので、礼拝堂内にはドゥアルテ1世とその妻レオノール・デ・レオンの2人が埋葬されています。
しかしながら、外観からではこれが未完なのか全くわかりません。
 
   
 
 
中に入って「未完の礼拝堂」の意味が解ります。なんと天井が全くありません、上は青空です。
礼拝堂はゴシック様式で建設がはじめられましたが、マテウス・フェルナンデスの手によって、マヌエル様式の傑作へと変わっており、柱や回廊の天井には マヌエル様式の彫刻が施されています。 
 
      
 
 
ドゥアルテ1世の棺
 
      
 
 
     
  修道院の見学を終え、昼食をレストランでとった後の午後2時半に、次の目的地アルコバサに向けて出発です。  
     
     
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